本書は、もともと、大学の学部の「環境経済学」の入門用の教科書として、環境原理を取り入れた経済学の視点と、それを土台として、「地球温暖化対策に有効な環境経済学の実践の書」としてまとめる予定でしたが、2019年秋の授業がはじまり、授業に間に合わせなければならない理由から、「地球温暖化対策に有効な環境経済学の実践の書」の部分は、来年度に延期して、とりあえずまとめたものです。「実践の書」の部分は授業で補うこととして、経済学の環境展開に重点を置いていますから、この点を補足しておきます。「地球温暖化と戦う」という部分も、極めて不十分に終わりましたが、これも続編で述べることにしました。いま世界は「カネ」が横行する時代になっています。スウエーデンの16歳の環境保護運動家グレタさんが、国連で演説したように、カネと地球環境は「二律背反」の関係にあり、この両者が安易に調和するように説くのは間違いです。彼女は、このことを直感で理解しているのだと思います。では、地球環境問題を克服するのは何でしょうか。それは、理屈や理論ではなく、一人一人が正しいと思うことを「実践」することです。どこかの国の環境大臣が、国連で地球環境は「セクシーに述べる」ことだと言ったそうですが、全く的外れもいいとこ、地球環境の将来が見ています。しかし、「実践」はどんな理論や言い回し、理屈よりも強力です。本書が、そうした「戦う実践の書」として役に立つことを願っています。